(c)shinichi kyousen suzuki2003 / 無断転載お断りします
この年にみまかりし人のいくたりを 思いだしをり天地又秋風
喜寿記念 「松井如流 書」(昭和52年)
いつしかに七十七といふ年むかへ しめらふ庭土黒光りする
たかだかとまたしろじろと辛夷さく なんとも老の心あかるき
歳八十重しとぞ思うこの春の 花盛りなる庭に下り立つ
未来への夢持つこともなくなりて その日その刻わが楽しまん
安保反対学園紛争また物價高 かかる年にて迎へし七十 かれがれの字を書くまじといましめて 今日は朝より大筆を持つ 古のすぐれし人は七十路を すぎて力ある文字を書きにき うかうかと生き来しことが罪のごと 思う日のあり年毎に怠けて 古稀といふ年になりても悟りあらず 反故紙つめば清しきごとし
いくひらの雲かゞやけるゆふまぐれ あすへの生きをわれは信ぜん
(c)shinichi kyousen suzuki2003 / 無断転載お断りします